能力認定・検定試験について
ICT支援員能力認定試験について
教育情報化コーディネータと並んで、より実務的な役割をねらった「ICT支援員」が教育現場に配置あるいは派遣されるようになってきました。ICT支援員は、ソフト活用やネットワークなどに関する技術や知識のほか、教育現場で実際に行われている教育活動や教員組織の理解、そこでの問題解決のためのコミュニケーション力などさまざまな実践的能力が必要になります。
これらの能力や適性を評価するため、教育情報化コーディネータ認定委員会では、2013年度から ICT支援員認定試験 を実施しています。試験は、年2回、前期(6月頃)、後期(11月頃)に実施することになっています。また、2019年度からは、より実践的能力を認定するICT支援員上級認定試験が始まりました。
試験領域と認定
◆ ICT支援員認定試験
ICT支援員には、ICTの扱いに関する実践的な知識ほか教育現場でのコミュニケーション力が要求されるため、A領域(実践知識)とB領域(問題分析・説明力)の2領域の試験が実施されます。同時に受験し両方ともが合格点に達したものに対して,教育情報化コーディネータ認定委員会(委員長:赤堀侃司 東京工業大学名誉教授)より「ICT支援員認定証」が授与されます。A領域はCBT(Computer Based Testing)で行われ、2019年度からは全国各地のテストセンターの端末を予約して受験できる(但し 日時は指定)ようになったので便利になりました。B領域は、送信されてくる課題に対し、自宅や職場で自撮りした説明映像を提出するというユニークなもので、状況判断力や説明能力が評価されます。
ICT支援員として、教育現場で活躍したいと考えられている方、是非実力を試してください。
◆ ICT支援員上級認定試験
ICT支援員上級は、ICT支援員認定者のうち、実績面、能力面で特に優秀と認められた方に認定される新しい制度です。2月(または3月上旬)に、有資格者のうちの受験希望者に、C領域(問題解決・コミュニケーション能力)に関する実践的課題と面接試験が課され、合格者にはICT支援員上級が認定されます。
ここでいう有資格者とは、1) ICT支援員認定試験AB領域とも高得点で合格していること(ICT支援員認定合格時に本人に通知されることになっています。有効期限4年)、2)教育現場等のICT支援に関連する実務経験が2年以上あること、の2つです。すなわち、まずICT支援員認定試験のAB領域を優秀な成績で合格していることが前提で、それに加えてC領域(問題解決やコミュニケーション能力)をクリアして、ようやく認定がもらえる厳しいものになっています。
それだけに、学校の情報化を支援するだけでなく、総合的に判断して適切に対応できる能力を認定するものとして期待されています。
教育の情報化を推進していく人材が必要とされています
教育の情報化や情報教育の推進には、専門的な知識と豊富な経験をもった人材が必要です。見通しのないシステム化や機器の導入は、投資に見合うだけの成果を出せず、期待が裏切られることになるからです。教育情報化コーディネータ(ITCE)検定試験は、学校や高等教育機関など教育の情報化をコーディネートできる人材を認定する制度です。情報化やICTを使った学習機会が進む現在、教育情報化コーディネータ(ITCE)認定者への期待と活躍の場がますます広がっています。
教育情報化コーディネータと求められる能力
コーディネータという仕事は、より高いレベルから全体を見回し、長期的な展望に立った判断・決定・実行をしていくために、総合的な能力を要求される仕事です。コーディネータが扱う問題の多くは、どちらかを採用すると、もうひとつは諦めなければならない、いわゆるトレードオフの問題になります。したがって、的確な判断を下すには、最新の情報を入手し、最新の技術に敏感であるとともに、数多くの成功例や失敗例も知っていなければなりません。
一般に「コーディネータ」がもつべき能力については、次のように整理されています。
1)調査(Research):実態や要望を綿密な調査に基づいて把握する能力
2)コミュニケーション(Communication):関連する機関や人と信頼関係を築くために、相互に十分情報交換し、意思疎通を確実に行う能力
3)企画(Planning):調査の結果を踏まえて、具体的な計画を立案する能力
4)対応(Coping):具体的な問題に対し、助言したり交渉したり、対処したりする能力
5)説明(Account):積極的に情報や問題点を提示し、理解が得られるように説明できる能力
上記は、もちろん教育情報化コーディネータに要求される能力でもあります。これらの総合的能力は、いわゆる実践力に対応するものであり、座学だけで身につくものではありません。現場での実践を積み重ね、経験を重ねる中で確実に身についていくべき能力です。
教育情報化コーディネータは、単に機器を保守したり、コンピュータの使い方を指導したり支援したりすることが仕事ではありません。教育の情報化や情報教育の推進を、高いレベルから円滑に進めていくための企画や助言をしていくことが求められる重要な仕事なのです。
検定のレベルと認定
教育情報化コーディネータには、1級、2級、準2級、3級のレベルが規定されていて、2001年度より、毎年2級と3級の検定試験を実施し、教育情報化コーディネータ認定委員会(委員長:赤堀侃司 東京工業大学名誉教授)により認定されています。2010年度からは1級の認定が開始され、現在7名の1級認定者がでています。3級検定の合格者には2級試験の受験資格が与えられ、2級1次および2次試験を経て2級資格が認定されます(2級1次のみの合格者は準2級と認定)。2級合格者は現在全国で200名強ですが、それだけにその資格と能力は社会的に信頼され、合格者は教育の情報化のさまざまな分野で活躍しています。3級は、2級への登竜門として、あるいは企業における研修の一つとして一般企業からも多くの方々が受験されています。
2013年度からは、教育現場で実務的な役割を果たすICT支援員の能力認定試験、2019年度からは、より実践的能力を認定するICT支援員上級認定試験も実施しています。
◆ 3級(入門レベル)
この分野で必要とされる基本的な概念、専門用語や専門知識が理解できる。
- 教育情報化コーディネータの役割や仕事の範囲がわかる。
- 教育の情報化の意義やその方法の基礎となる、理論・制度などがわかる。
- コンピュータのハードウェアとソフトウェアの名称と教育における役割がわかる。
- ネットワークの構築に関する基礎的な知識・技術がわかる。
◆ 2級(専門家レベル)
習得した知識や技能および経験を生かして、市町村単位での数年単位の情報化を、実際にコーディネータとして設計・助言できる。
- 3年間程度の学校の情報化推進計画を設計・提案することができる。
- 教育システムやカリキュラム開発・運用の方法がわかる。
- SE、教員らとコミュニケーションをとりながら問題解決をする方法がわかる。
- 教育の情報化に伴う制度的、法律的問題が理解でき、対処法がわかる。
準2級 : 2002年度から設定されたもので、2級の専門家を補佐し、市町村単位での数年単位の情報化を、実際にコーディネータとして設計・助言できる。
◆ 1級(指導者レベル)
教育情報化コーディネータとしての豊富な経験をもち、国や都道府県レベルの長期的な計画を 設計・助言できる。教育情報化コーディネータの指導者として活躍していける。
- 都道府県レベルの長期的な教育情報化推進計画を設計・提案・運用支援できる。
- コンピュータのハードウェアとソフトウェアの教育利用に関する的確なアドバイスができ、SE、教員らとコミュニケーションをとりながら問題解決できる。
- 教育を目的としたネットワークシステムの構築に関して、技術的な問題解決ができる。
- 教育の情報化に伴う制度的・法律的問題が理解でき、対応ができる。
これらを実現していくために、教育情報化コーディネータには、教育現場における教育の情報化の現状や近未来の課題など、時事的な問題を理解し、解決策を検討していく恒常的態度が、強く求められている。