ICT支援員認定者の実態に関するアンケート調査(2023)

特定非営利活動法人情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)では、2019年に引き続き、2023年9月に「ICT支援員の社会的認知(位置づけ)に関するアンケート」を実施しました。その結果について取りまとめましたので、以下の通り公表します。  ※2019年の踏査結果はこちら→アンケート調査(2020)

【目次】


2022年12月までのICT支援員認定者(調査対象者)の概要

ICT支援員に関する認定試験は、2013年6月より毎年2回(6月および10月または11月)に「教育情報化コーディネータ認定委員会」のICT支援員認定試験実行委員会によって実施されている(2020年6月期試験は新型コロナウイルス蔓延のため中止)。
認定試験はA領域(主としてICTの活用や教育支援に関連する知識)とB領域(コミュニケーションや説明力)の双方に合格しなければ認定には至らない。特にB領域の審査方式では教育現場等からの質問に対し、短時間に的確な話ことばで回答する能力を求めており、自撮りの動画で提出された解答を4~5名の審査員によって評価する方式をとっている。座学としての知識だけでなく、実践に即した能力も認定の対象となっているところに特徴がある。

今回の調査対象者(2022年12月まで)とした総受験者数は、のべ 6,421名にのぼり、そのうち認定に合格した者は 2,832 名である。この2,832名の合格者の基本情報をまとめると以下のようになる。

(1)2022年12月までのICT支援員認定者総数および 年次推移

認定年度人数
201367
2014177
2015279
2016328
2017220
認定年度人数
2018175
2019303
2020309
2021574
2022400
合計2832

2013年から始まったICT支援員認定試験の合格者は、2013年の67名から翌年は3倍に増え、2021年までは毎年2~300名の合格者を輩出していることがわかる。2021年以降は,受験者数も合格者数も急増している。
なお、2014年~2020年は、別途実施されたコミュニケーション研修の修了試験によってもB領域の合格とみなされたため、前回調査の年度別合格者数と多少数値が異なるところがあるが、年度別認定者数は、同じである。


(2)ICT支援員認定者の性別分布

性別人数2019
177762.795061.3
105537.359938.7
総計28321001549100


(3)ICT支援員認定者(合格時)の年齢分布

年齢人数2019
~20歳未満20.120.1
20歳以上~25歳未満1384.9523.4
25歳以上~30歳未満37313.217511.3
30歳以上~35歳未満34812.318912.2
35歳以上~40歳未満40714.423415.1
40歳以上~45歳未満48717.229719.2
45歳以上~50歳未満45616.126216.9
50歳以上~55歳未満30410.718612
55歳以上~60歳未満2117.51157.4
60歳以上~65歳未満762.7291.9
65歳以上~301.180.5
合計28321001549100

(4)ICT支援員認定者の都道府県分布(人数の多い順)

都道府県人数
1.東京都453
2.神奈川県225
3.大阪府218
4.愛知県202
5.福岡県154
6.千葉県129
7.埼玉県113
8.静岡県86
9.北海道82
10.兵庫県74
11.京都府67
12.岐阜県66
13.沖縄県66
14.福島県63
15.広島県61
16.熊本県52
都道府県人数
17.茨城県50
18.新潟県48
19.岩手県44
20.鳥取県40
21.鹿児島県38
22.長野県37
23.宮城県37
24.栃木県31
25.滋賀県30
25.奈良県30
25.三重県30
26.青森県28
26.岡山県28
30.大分県25
31.徳島県21
32.山口県18
都道府県人数
33.和歌山県17
34.山形県16
34.石川県16
34.富山県16
37.宮崎県14
37.佐賀県14
37.愛媛県14
40.群馬県13
40.香川県13
40.長崎県13
43.山梨県11
44.秋田県10
45.島根県9
46.福井県5
46.高知県5
合計2832

(5)都道府県別1認定者当たりの学校数(少ない順)

都道府県認定者数学校数学校数
/人
1.東京都45321824.8
2.鳥取県402055.1
3.神奈川県22513736.1
4.沖縄県664356.6
5.愛知県20214257.1
6.大阪府21815717.2
7.福岡県15411427.4
8.岐阜県665748.7
9.京都府676329.4
10.静岡県868189.5
11.千葉県12912559.7
12.奈良県3033611.2
13.埼玉県113127111.2
14.滋賀県3034011.3
15.熊本県5259111.4
16.福島県6373611.7
17.岩手県4456112.8
18.広島県6182913.6
19.長野県3758315.8
20.新潟県4876616.0
21.茨城県5079816.0
22.兵庫県74119416.1
23.徳島県2134916.6
24.青森県2849317.6
都道府県認定者数学校数学校数
/人
25.富山県1628217.6
26.宮城県3765817.8
27.大分県2545218.1
28.栃木県3156718.3
29.三重県3060020
30.佐賀県1428420.3
31.香川県1326720.5
32.石川県1633220.8
33.岡山県2859521.3
34.鹿児島県3883021.8
35.北海道82183822.4
36.和歌山県1741624.5
37.山形県1642326.4
38.山梨県1129426.7
39.宮崎県1440028.6
40.山口県1851928.8
41.愛媛県1447433.9
42.秋田県1036236.2
43.島根県933537.2
44.群馬県1350939.2
45.長崎県1358244.8
46.福井県529258.4
47.高知県538977.8
全国28323215911.3

各都道府県の全学校数をICT支援員認定者数で割った値。すなわち、認定者が全員仕事に就いているとしたら、一人何校を支援することになるかを示している。学校数は2023年5月1日現在の学校基本調査で,小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校の合計数である。
全ての認定者数が実際にその地域で任務についているわけではないのであくまでも統計上の数字であるが、下位の都道府県は、ICT支援員の認定を受けていない者に支援を任せざるを得ない状況であるということを示唆している。


ICT支援員の実態に関するアンケート調査(記述統計のみ)

アンケート調査(ICT支援員の社会的認知(位置づけ)に関するアンケート)は、初回の2013年6月より2022年12月までにICT支援員認定試験認定に合格した 2,832名を対象とした。
合格者全員ではなく合格後1年以上経過したものだけを対象にしたのは、認定書取得の結果が社会にどのように認知され実態に影響を与えているかを把握するためである。

方法は、受験申込時に登録されたメールアドレスに匿名を保証する形で、回答を依頼した。しかし、すでにそのメールアドレスを利用しておらず、バウンスしてきたメールが300件近くあった。したがって実際に依頼が届いたものは2,500通あまりと思われる。結果、回答は346名であった。
以下は346名の回答に基づく統計資料である。

※2019年12月に実施したアンケート回答者238名のうち、57名が再度回答したと答えている。また、115名が前回は回答しなかったが今回は回答したと答えている。 約半数が2019年以降の新しい認定者である。

(1)回答者性別分布

性別人数
男性20759.8
女性13539.0
未回答41.2
合計346100%

回答者のうち男性が約6割を占めた。

(2)回答者年齢分布

年齢人数2019
20歳以上~25歳未満41.231.3
25歳以上~30歳未満226.4104.2
30歳以上~35歳未満319.02410.1
35歳以上~40歳未満257.2229.2
40歳以上~45歳未満4412.74217.6
45歳以上~50歳未満6518.84619.3
50歳以上~55歳未満6418.54117.2
55歳以上~60歳未満4312.43414.3
60歳以上~4813.9166.7
合計346100238100

40歳から50歳の年代が、全体の約4割を占めている。
また、25歳以上30歳未満は前回の調査と比較して、倍増しているとともに、60歳以上が3倍増している。

(3)回答者の都道府県分布

都道府県人数
北海道 15 4.3
青森県 6 1.7
岩手県 7 2.0
宮城県 5 1.4
秋田県 2 0.6
山形県 3 0.9
福島県 10 2.9
茨城県 10 2.9
栃木県 3 0.9
群馬県 2 0.6
埼玉県 16 4.6
千葉県 12 3.5
東京都 44 12.7
神奈川県 30 8.7
都道府県人数
新潟県 6 1.7
富山県 1 0.3
福井県 2 0.6
山梨県 1 0.3
長野県 10 2.9
岐阜県 4 1.2
静岡県 11 3.2
愛知県 19 5.5
三重県 10 2.9
滋賀県 2 0.6
京都府 5 1.4
大阪府 23 6.6
兵庫県 7 2.0
奈良県 3 0.9
都道府県人数
和歌山県 3 0.9
鳥取県 7 2.0
岡山県 5 1.4
広島県 13 3.8
山口県 7 2.0
徳島県 2 0.6
香川県 3 0.9
愛媛県 1 0.3
福岡県 11 3.2
佐賀県 3 0.9
熊本県 8 2.3
大分県 3 0.9
鹿児島県 10 2.9
沖縄県 1 0.3

10名以上の回答が得られた都道府県は15都道府県あった。5名以上の回答が得られたのは9府県。残りは4名以下の回答者で、一人も回答を得られなかった県も5県あった(石川県、島根県、高知県、長崎県、宮崎県)。

(4)回答者のICT支援員認定合格時期

人数
2013年710.4
2014年189.3
2015年176.0
2016年247.8
2017年229.9
人数
2018年3015.9
2019年4916.6
2020年5518.5
2021年6311.0
2022年6115.3
346100

2013~2022年の認定者は2832名。そのうちの約12%の方から回答をいただいた。
2018年、2019年、2020年、2022年の認定者からは、15%以上の方から回答があった。

(5)ICT支援員の資格を取った後変化があったかどうか

変化人数2019
特にない24871.717874.8
変化があった9828.36025.2
合計346100238100

ICT支援員認定合格後変化があった人は28%。特にない人は72%であった。前回に比べて若干変化があった割合が上がっている。

a)変化があった人に対してどのような変化があったか

変化したこと人数2019
仕事の幅が広がった5237.11017.5
地位向上3122.11729.8
給与アップした3021.41424.6
新規受注できた1611.4610.5
採用に役に立った53.635.3
自己実現42.935.3
その他21.447

前回の自由記述を集計した結果から、選択肢へと変更した。前回の「自信がついた」に含めた内容を、「自己実現」と表現した。「自己啓発になった」「気持ちが豊かになった」等を含んでいる。
その他には「特になし」という記述を2件含む。

(6)取得している資格(複数回答・降順)

資格名人数2019
ITパスポート10514
基本情報技術者6813
教員免許6449
ITCE3級5955
情報セキュリティマネジメント453
応用情報技術者133
マイクロソフト系116
Google認定教育者7
ITCE2級66
ITCE準2級311
ドットコムマスター3
ネットワークスペシャリスト2
データベーススペシャリスト2
コンプティア関連専門資格2
ITILファンデーション2
DXアドバイザー2
CCNA22
その他2914
対象者346176

資格取得者は飛躍的に増加している。特にITパスポート、基本情報技術者など、国家資格取得者が増加している。前回はほとんどいなかった情報セキュリティマネジメントも、多くの認定者が取得している。旧資格は現在の資格に変換して数えた。
前回は取得者1名の資格はその他にまとめたが、今回はICT支援員に特に関連するものは掲載した。そのため、前回は分けて考えていた「その他」と「他の資格」を今回は1つにまとめ、「その他」とした。その他には衛生管理者やアマチュア無線、ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント、学芸員、司書教諭、社会教育主事、資格名が不完全でわからないもの、等を含む。

(7)現在あなたはICT支援員として働いていますか

働いている人数2019
働いていない(含まれていない)1735011849.6
働いている(含まれている)1735012050.4
合計346100238100

「現在ICT支援員として働いている、または業務に含まれている」と回答した人の割合と、「働いていない、または業務に含まれていない」と回答した人の割合は同じであった。
前回に引き続き、ICT支援員認定合格者の半数が現在ICT支援員として働いていないまたは業務に含まれていないという状況である。

なお、ここで働いていない(含まれていない)と回答した人は(24)現在の職業に進んでもらった。
働いている(含まれている)と回答した人は続けて(8)へ進んでもらった。

(8)ICT支援員として訪問したことのある学校種(複数回答)

行ったことのある学校人数2019
幼稚園・保育園・こども園122.882.9
小学校14634.49835.9
中学校14333.79334.1
高等学校5913.9269.5
専修学校・高専・短大・大学143.382.9
特別支援学校81.931.1
教育関係団体10.20
教育委員会・
教育委員会関連施設
419.73613.2
一般企業010.4
のべ総計424100273100

ここからはICT支援員として働いているあるいは業務として含んでいる人に回答してもらった。支援したことのある学校種は複数回答である。
行ったことのある学校種として、前回と比較して増加したのは高等学校である。
GIGAスクール構想後、高等学校でも1人1台端末整備が進み、ICT支援員の必要性が高まったからではないかと考えられる。

(9)最も訪問回数の多い学校種

訪問校人数2019
幼稚園・保育園・こども園21.210.8
小学校109638570.8
中学校2212.71714.2
中高一貫校10.60
高等学校191175.8
専修学校・高専・短大・大学42.30
特別支援学校10.610.8
教育委員会・
教育委員会関連施設
137.597.5
その他21.20
総計173100120100

(8)は支援したことのある学校種を複数選択してもらったが、この(9)は最も訪問回数の多い学校種を1つ選択してもらった。
前回に引き続き、小学校が最も多くなっている。また、高等学校が最も訪問回数の多いICT支援員が増加している。

(10)ICT支援員の経験年数

支援員歴人数2019
~1年未満95.265
1年以上2年未満1810.41210
2年以上~3年未満3620.81613.3
3年以上~4年未満2112.11512.5
4年以上~5年未満19111512.5
5年以上~6年未満126.91411.7
6年以上~7年未満95.243.3
7年以上~8年未満95.243.3
8年以上~9年未満7432.5
9年以上~10年未満63.554.2
10年以上~2715.62520.8
総計173100120100

ICT支援員としての経験年数は、3年以下が約35%、4年以上10年未満が約50%、10年以上が約15%というバランスになっている。
前回と比較して、2年以上3年未満の支援員が大幅に増加した。1人1台端末が配布される時期にICT支援員を始めた支援員が多いのではないかと考えられる。

(11)ICT支援員として実際に行ってきた(あるいは行ったことのある)仕事

仕事人数2019
ICT利活用の研修の講師14282.18974.2
MDMソフトを操作してタブレットを
ロックしたり一斉操作したりする
6336.4
PC(タブレット含む)のセットアップ12672.8
PC(タブレット含む)の
設定変更
14785.08974.2
PC機器(タブレット含む)の片付け整備13980.39579.2
SSIDを削除して追加
(ネットワークトラブル時)
6537.6
アカウント処理(発行・停止・移動等)12270.57058.3
ソフトウェアのインストール13678.69377.5
ネットワーク等の設定変更9152.65848.3
フィルタリングソフトを操作して
フィルタリング変更
5531.8
プログラミング授業の代行9253.26150.8
ホームページ作成の代行8046.27360.8
機器ソフト操作の児童生徒への支援14785.09377.5
機器活用事例の資料作成13175.77663.3
教材作成の代行10359.56957.5
校務処理の代行7845.16150.8
授業での教師へのICT支援15489.09579.2
情報モラル授業の代行6738.75848.3
年度更新作業(タブレット本体
アカウント含む全般)
13578.0
その他(なし、支援員への
指導、導入支援等含む)
84.6119.2

MDMソフトや、フィルタリングソフト、SSID等1人1台の環境になって重要視される機能を業務として実施している支援員がいることがわかる。
また、本来は教員の監督のもと支援が実施されているはずであるが、プログラミング授業の代行は半数程度、情報モラル授業の代行は役4割の支援員が「実施したことがある」回答している。これはICT支援員の実感としての回答であり、どこまでが支援でどこからが代行かという線引きは難しいところがある。
前回と比較して、割合が減っている支援は「ホームページ作成の代行」「情報モラル授業の代行」「校務処理の代行」である。ホームページや、校務処理については「学習用タブレット」の支援員ということで、仕様から除外されている業務になったと考えられる。情報モラル授業の代行については、「教育の情報化に関する実態調査」の教員のICT活用能力で、D 情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力対してのポイントが2020年3月は80.5%、2022年3月は86.9%と上がっていることも関係しているのではないかと考えられる。

(12)雇用主体

雇用主体人数2019
教育・情報を主とする会社8348.07562.5
人材派遣を主とする会社3319.12218.3
教育委員会等2916.81512.5
学校法人116.443.3
ITサービスを主とする会社63.50
機器の販売を主とする会社52.90
公益法人31.70
その他(卸売り、
商事、職業訓練等含む)
31.743.3
総計173100120100

ICT支援員の雇用主体は教育・情報を主とする会社が約半数を占めている。次いで人材派遣を主とする会社、教育委員会等となっている。回答者の多くは企業に雇用されてICT支援員業務を行っていることがわかる。
前回と比較すると、学校法人に直接雇用されているICT支援員が増加している。

(13)雇用形態

雇用形態人数2019
正規雇用の社員7040.54436.7
契約社員4123.73932.5
パートタイム社員1810.42319.2
会計年度任用職員158.754.2
派遣社員126.90
嘱託職員63.543.3
会社役員31.70
業務委託31.70
アルバイト21.221.7
個人事業主10.610.8
有償ボランティア10.8
その他(教員、
業務ごとの契約含む)
21.210.8
総計173100120100

正規雇用社員として従事している人が約40%であった。契約社員(約20%)の拘束時間は不明だが、社会通念上フルタイムに近い勤務形態と想定されるため、情報支援の仕事にフルタイムで従事している方が、60%以上おられることがわかる。
正規雇用か非正規雇用かという観点では、正規雇用約40%に対し、非正規雇用は約56%と依然半分以上が非正規雇用となっている。残り約4%は経営者や個人事業主等である。

(14)前年度の年間収入

年収人数2019
~60万円未満126.91512.5
60万円以上~103万円未満137.597.5
103万円以上~130万円未満63.5119.2
130万円以上~150万円未満74.043.3
150万円以上~200万円未満1810.41613.3
200万円以上~300万円未満4425.42722.5
300万円以上~400万円未満169.21411.7
400万円以上~500万円未満95.210.8
500万円以上~600万円未満21.232.5
600万円以上~42.3
回答できない63.5
支援員以外の仕事が
主なため、計算できない。
3620.82016.7
総計173100120100

アンケートでは「昨年1年間」の「ICT支援員として得た」「額面収入」を聞いている。今回の集計では2022年1年間の源泉徴収票等に記載されている年間収入にあたる。
103万を超えない範囲で仕事をしている方が約15%おられ、扶養の範囲内(130万未満)で仕事をされている方を合わせると約18%になる。
200万円以上300万円未満の年収が約25%を占めている。国税庁の資料によると https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/pdf/002.pdf 令和4年度の国民の平均給与額は約450万円なので、平均より少ない給与がボリュームゾーンとなっていることがわかる。 東京都の最低賃金は、2020年から2023年の間に100円上がっている。年額に換算すると約20万円である。前回調査では、200万円未満の回答者が約45%いたが、今回は約30%となっている。

(15)労働契約を書面で取り交わしているか

労働契約の書面人数2019
取り交わしていない3319.11815
取り交わしている14080.910285
総計173100120100

労働契約を書面で取り交わしていないとする回答者の割合が前回に比べて増加している。

(16)労働契約の期間

雇用期間人数2019
正規社員のため
雇用期間の定めなし
5732.93327.5
1年5833.53630
6か月2514.52520.8
3か月105.821.7
複数年52.9108.3
無期雇用42.30
明記なし(正規社員を除く)63.586.7
その他(都度変わる、教員、
個人事業主、定めなし含む)
84.665
総計173100120100

雇用期間では1年間が最も多く、次いで6か月である。
ICT支援員業務自体が1年毎に入札等を実施される、会計年度任用職員等は1年毎に雇用期限がある、という課題と関係していると考えられる。

(17)この1か月のICT支援員としての勤務時間

時間数2019
~20時間未満44262625.5
20時間以上~40時間未満1710.1109.8
40時間以上~60時間未満3118.31110.8
60時間以上~80時間未満116.587.8
80時間以上~100時間未満95.365.9
100時間以上~120時間未満63.643.9
120時間以上~140時間未満158.91211.8
140時間以上~160時間未満1810.7109.8
160時間以上1810.71514.7
総計169100102100

この1か月間のICT支援員として勤務した総時間数については、20時間未満が最も多く、次いで40時間以上60時間未満であった。
60時間未満が半数を超えていることを考えると、業務内容にICT支援員が含まれているあるいはICT支援員として働いていても、実際にICT支援員として勤務している時間は少ないと回答した人が多いといえる。

(18)給与形態

給与形態人数2019
時給5129.54940.8
日給21.232.5
月給11465.96251.7
その他63.565.0
総計173100120100

給与形態について、最も多いのは月給である。 続いて時給である。
この後、時給、日給を選んだ人は(19)時給額を聞いた。月給、その他を選んだ人は(21)主たる生計者へ進んでもらった。

(19)時給(回答53名中)

人数2019
1000円未満11.912.0
1000円以上~1200円未満611.31326.5
1200円以上~1400円未満611.31020.4
1400円以上~1600円未満1324.5612.2
1600円以上~1800円未満1324.5510.2
1800円以上~2000円未満713.2714.3
2000円以上~2200円未満59.4510.2
2200円以上~2400円未満24.1
2400円以上~2600円未満
2600円以上~2800円未満11.9
未回答11.9
総計5310049100

(18)で、時給、日給を選んだ人に回答してもらった。日給の人には時給換算を行ってもらった。
最も多いのは1400円以上1600円未満と1600円以上1800円未満である。小数ではあるが1000円未満もまだ存在している。
なお、前回の調査と比較して時給に関しては改善がみられるといえよう。前回は1000円以上1200円未満が最も多かったことを考えると、最低賃金は東京都で100円上がっている程度だが、ICT支援員はそれ以上上がっていると考えられる。

(20)仕事をしている地域(回答53名中)

地域人数2019
東京都23区または大阪市815.148.2
その他の政令指定都市1426.41122.4
政令指定ではない県庁所在市23.836.1
その他の市2139.62449.0
大都市近郊の町村23.8
地方の町村611.3714.3
総計5310049100

(18)で、時給、日給を選んだ人に回答してもらった。
仕事をしている地域では、その他の市が最も多く、続いてその他の政令指定都市が続いている。
町村は約900か所、その他の市は約700か所であるが、時給・日給で働いている回答者はその他の市で多く働いているといえる。

(21)主たる生計者

主たる生計者かどうか人数2019
いいえ5732.94033.3
はい(家族を扶養していない)7643.96352.5
はい(家族を扶養している)4023.11714.2
総計173100120100

ここからはICT支援員として働いているあるいは業務に含まれている人全員に回答してもらった。
約40%以上の方が、配偶者の扶養のない主たる生計者であった。主たる生計者でない方を含めると、約75%となっている。

(22)家計を同一にする家族

家計を同一にする家族の人数人数2019
0人(一人暮らし)2413.92117.5
1名4626.62621.7
2名3017.31512.5
3名2615.02924.2
4名以上4727.22924.2
総計173100120100

家計を同一にする家族の数は、比較的1名(二人で暮らしている)と4名以上が多い。
前回から大きな変化はないと考えられる。

(23)研修について

過去1年間に参加した外部研修(自費参加)の回数

外部研修(自費参加)人数2019
0回11465.97159.2
1回2112.11613.3
2回169.21613.3
3回137.51310.8
4回21.200.0
5回21.221.7
6回以上52.921.7
総計173100120100

過去1年間に、自費で外部研修に参加したことがある人は約34%である。6回以上参加している人も約3%存在する。
前回調査に比べて減少している。

過去1年間に参加した外部研修(会社の補助あり)の回数

外部研修会社の補助あり人数2019
0回12773.49075
1回2715.6119.2
2回84.654.2
3回74.043.3
4回10.610.8
5回00.010.8
6回以上31.786.7
総計173100120100

過去1年間に、会社の補助のある外部研修に参加した人は約27%である。
前回よりわずかだが増加した。

過去1年間に参加した外部研修(社内研修)の回数

社内研修人数2019
0回8146.84537.5
1回2715.62420
2回148.11915.8
3回1911.075.8
4回74.043.3
5回21.232.5
6回以上2212.71815.0
不明10.6
総計173100120100

過去1年間に社内研修を受けたことがある人は約53%である。前回の調査から減少している。
0回と1回を合わせると、約62%である。社内研修をほとんど受けずにICT支援員として働いている人が3人に2人程度存在していることになる。

過去1年間に参加した外部研修(自治体内研修)の回数

自治体内研修人数
0回13276.3
1回179.8
2回95.2
3回52.9
4回21.2
5回10.6
6回以上74.0
総計173100

過去1年間で自治体内で研修を受講した人は約25%である。
前回は自治体内でまとまって研修する(例えば大規模な自治体で、何社か分割して入札されている)といった存在がほとんどなかったが、今回初めて回答してもらった。
ICT支援員として働いているあるいは業務に含まれている人の回答はここで終了である。

(24)現在ICT支援員として働いていない
     と答えた人(173名)の現在の職

現在の職業人数2019
それ以外の企業4827.72722.9
サービス業3117.92319.5
その他教育関連2112.11714.4
ソフトメーカ169.286.8
教員関連158.765.1
自営業・自由業148.197.6
大学・研究機関63.575.9
ハードメーカ42.365.1
派遣社員42.343.4
公務員・自治体職員31.743.4
無職105.832.5
その他10.643.4
総計173100118100

現在ICT支援員として働いていないあるいは業務に含まれていない人に現在の職業を聞いた。
最も多かったのは「それ以外の企業」である。続いてサービス業となっている。その他教育関連が3番目に多い。

(25) ICT支援員の社会的認知を上げるために必要な活動

ICT支援員の社会的認知をあげるために必要な活動自由記述のワードクラウド

現在ICT支援員として働いていないあるいは業務に含まれていない人に、ICT支援員の社会的認知を上げるのに必要なものを自由記述で回答してもらった。
ユーザーローカル社のワードクラウドで分析した結果(強制抽出語10)労働環境について、単価の改善、そのための予算の確保ということを述べている人が比較的多いと言える。
また、社会的認知をあげるために自治体に働きかけを行うこと、教育現場の認知度を上げることなどを述べている人も比較的多いと言える。

6 まとめ

2019年末に初めて実施された大規模なICT支援員に関するアンケートの第2回目を実施することができ、346名からの回答を集計した。
当初は,1年に1回実態を調査し,経年変化を分析する予定であったが,コロナ禍の休校やその後の混乱を鑑み,一度落ち着くまで時間を要した。
今後は、新しい認定者の1年後を対象として実態を調査し、経年変化も分析できるようにする予定である。 上記アンケートは記述統計のみを公開したものであるが、今後のICT支援員についての議論を行う際の基礎資料として大いに活用されることを期待する。