登録番号:C03-007 C1:授業におけるICT活用(指導上の留意点)
Q. 児童・生徒にタブレットで写真を撮ってこさせるような授業をしようと思っていますが、指導上の留意点はありますか。
A. 以下のような視点や配慮をおさえ、情報活用能力の育成につなげていきましょう。
写真を撮影する際には、児童・生徒には次のようなことを意識させましょう。
◯目的・条件を踏まえて対象物を撮影する(アングルやフォーカスを意識し、対象をフレーム内におさめる)
◯他人がひと目で何を伝えている写真かがわかるようにする(ポイントを絞ったとり方を工夫)
◯撮影禁止場所での撮影の是非、肖像権を踏まえた撮影等を意識させる。公の場で提示できるか判断させる
◯必要に応じて、画像上に説明を加えたり、写真にキャプション(見出しや説明)をつける
教科の学習活動の中にも情報活用能力を育成したり、発揮する場面はたくさんあります。
ここでは、例えば算数科における「身の回りの三角形を探そう」といった取材活動における情報活用能力育成の視点についてお話をします。
算数科において、デジタルカメラ(タブレットの場合もあり)を持って、校内でなんらかの「図形探し」や「九九探し(身の回りのかけ算を探そう ※IT実践ナビにリンク)といった活動が実施されたとします。実際に児童が撮影してきた写真はさまざまでますが、この場面での「情報活用能力の育成の視点」について考えてみましょう。
取材活動の評価
授業で児童らに与えた課題は、「三角形の条件を満たすモノの写真を撮ってくる」とします。三角形以外の図形を撮影してくる児童はほとんどいないとおもいますが、ここで算数的な視点のみで活動を捉えると、情報活用能力育成の指導場面が生まれてきません。そこで、以下のような視点で、その児童の活動を評価してみましょう。
情報活用能力としての視点
【1】条件に適う対象物(三角形の条件を満たしたもの)を選んでいる
【2】「記録写真」として、アングル、サイズ、フォーカス等が適切である
【3】他者にわかりやすく伝えるために必要に応じて、画像に加工を加えている。
【4】自分の「情報(記録写真)」と他者のものを比較して、その違いや目的に適ったものかどうかを評価できる。
上記のような視点で児童の活動を評価することで、ここでの「取材の能力」は他の活動でも発揮されることになります。
また、三角形は探してきたけども、他者に伝えるという視点が欠けていたり、他者と比較するという視点がない場合もあります。多様な視点を持った児童らの学級集団において、やはり他者に伝える・他者と比較するという視点は重要であるといえます。
取材活動における指導の配慮
デジタルカメラ(タブレット)を活用した取材活動において、校外に出たり、人物を撮影する場合について考えてみましょう。
校外に出る際には、撮影時の注意点をきちんと指導しておく必要があります。
【1】撮影時の安全について
昨今「歩きスマホ」による事故の危険性が指摘されています。撮影時の自己の安全に注意を促すとともに、他者の安全にも気を配り、迷惑にならないように配慮する指導をおこなってください。注意事項を列挙するだけではなくて、どういったリスクが想定されるかについて、できるだけ児童らの考えを引き出していきましょう。
【2】撮影時の「許可」について
校外で撮影する場合には、撮影対象とするお店や人物に対して、許可を得てから撮影することを指示しましょう。 ※原則、建築物や公共施設等については自由に撮影することができますが、個人のお店や人物が映り込む場合には、事前に許可を取ってから撮影するようにしましょう。 (写真や映像を何のために使うのかを事前に説明した上で、許可を得てから撮影するように指示しましょう。)
情報活用能力(情報社会に参画する態度の育成)指導のポイント
撮影時の注意事項として「してはいけない」という指導だけでは十分ではありません。 なぜ、勝手に個人を撮影してはいけないのかといった点について、児童生徒に問いかけて、情報モラルの指導につなげていきます。 児童らは、保護者のスマホやデジタルカメラを用いて、幼いころから写真を撮影する経験をしています。しかし、自由に撮ってもいい場所、撮影を控えるべき場所、撮影許可を得るべき場合などを適切に判断できるようにしていきます。低学年における町探検、中学年の地域学習、社会科見学等、児童が取材活動をおこなう機会はたくさんあるので、情報活用能力育成の指導場面を系統的に配置します。
理解度CHECK!
次の中で、児童がタブレット端末を使って写真撮影をする際の指導として最も適切なものを1つ選びなさい。