教員のための情報教育FAQ

登録番号:C04-016  D1:教科における情報活用能力の育成

Q. 国語科で情報活用能力の育成を意識した単元はありますか。

A. はい。国語の授業は、広い意味で情報教育のねらいと深くかかわっています。

文章の意味と文脈の読み取り(読解力)、論理的な思考、言葉によるわかり易い表現など、情報活用能力に求められている基礎的な能力を国語科では育成していますので、多くの単元が情報活用能力を意図しているといっても過言ではありません。

その中でも、小学校4年「アップとルーズで伝える」は、メディアの利用を前提にしている内容として、よく取り上げられる単元です。 


小学校4年 アップとルーズで伝える (光村図書 4国語 下)

国語科のねらい
・それぞれの段落が全体の中でどの様な役割を果たしているかを考えながら読むことができる。
・写真と対応した部分に注意して読み、「アップ」と「ルーズ」それぞれの特徴を整理することができる。

この単元では
国語科のねらいと情報活用能力のねらいが重なっています。
よって、国語科の二つ目のねらいを達成することで、情報教育のねらいも達成することができます。
*情報教育のねらい、情報の分析において「集めた情報の共通点や相違点を話し合い整理する〔体験〕」
「二つの事柄を比べ、違いに気づく〔認識〕」「絵や図から必要な情報を読み取とる〔行動〕」「二つの事柄を比べ、違いの理由を考える〔思考〕」

授業では

発問
アップで撮った写真、ルーズで撮った写真によって、情報を受け取る人に伝わる情報のちがいを学習してきました。

「アップで撮った写真の良い点にはどの様なことがありましたか。」
「細かい部分がよくわかりました。」「そうでしたね。」
「ルーズで撮った写真の良い点にはどの様なことがありましたか。」
「広い範囲の様子がよくわかりました。」「そうでしたね。」
「PMIシートを用いて、アップで撮った写真、ルーズで撮った写真のよい点(P)とわかりにくい点(M)について整理し、自分がアップの写真を使って説明したい。ルーズの写真で説明したいと考える学校の中の場面を(I)に書きましょう。」

情報活用能力を意識すると

この様に、本単元の国語科の指導を通して、情報活用能力の情報の分析において

「集めた情報の共通点や相違点を話し合い整理する〔体験〕」
「二つの事柄を比べ、違いに気づく〔認識〕」
「絵や図から必要な情報を読み取とる〔行動〕」
「二つの事柄を比べ、違いの理由を考える〔思考〕」

の力を養うことができます。

また、実際に児童にアップとルーズの写真を撮影させ、
自分の考えを伝えさせペアやグループで話し合わせる活動を加えると、より学習内容が定着すると考えられます。

この様な学習をくり返すことで、5/6年生での情報と情報との関係付けの仕方、図などによる語句と語句との関係の表し方につながります。

理解度CHECK!

次のうち、情報教育のねらいにも対応していると思われる学習活動はどれでしょう。すべてチェックしなさい。


写真から「アップ」と「ルーズ」をそれぞれの特徴を整理するよう指示した。
必ず「アップ」と「ルーズ」の写真を撮るように指示した。
二つの事柄を比べ、違いの理由を考えさせた。

  ▲ 選んだら を押してください。

根拠となる資料

第3学年と第4学年における情報の扱い方に関する事項において
新学習指導要領解説 国語編 P86

(2)情報の扱い方に関する事項
情報と情報の関係
ア 考えとそれを支える理由や事例,全体と中心など情報と情報との関係について理解すること。
第1学年及び第2学年のアを踏まえ,考えと理由や事例,全体と中心の関係などに重点を置いて情報と情報との関係を理解することを示している。
理由は,なぜそのような考えをもつのかを説明するものである。事例は考えの妥当性を示す根拠となる客観的な事実や具体例などを指すものである。
このため,理解したり表現したりする上で,考えがどのような理由や事例によって支えられているのかを吟味することが重要である。
中心とは,話や文章の中心的な部分のことである。話や文章の全体を大づかみに捉えることが,その中心を把握することに役立つ。
また,中心を把握することが,全体をより明確に捉えることにもつながっている。

情報の整理
イ 比較や分類の仕方,必要な語句などの書き留め方,引用の仕方や出典の示し方,辞書や事典の使い方を理解し使うこと。
情報を整理する際に必要となる,比較や分類,語句の書き留め方,引用の仕方や出典の示し方,辞書や事典などの使い方について示したものである。
比較とは複数の情報を比べることである。分類とは,複数の情報を共通な性質に基づいて分けることである。
話や文章を理解したり表現したりするためには,観点を明確にして比較したり分類したりすることで情報を整理することが重要である。
必要な語句とは,情報を集めたり,発信したりする場合に落としてはいけない語句である。
それらを書き留めるためには,目的を意識して必要な語句を判断することが必要となる。
したがって,話や文章の内容を網羅的に書き出したり,機械的にメモの取り方を覚えたりするのではなく,
必要な情報は何かということを念頭に置きながら,落としてはいけない語句を適切に捉え,それらを書き留めることが重要となる。

指導に当たっては,
例えば,〔思考力,判断力,表現力等〕の「A話すこと・聞くこと」の(1)アや「B書くこと」の(1)アなどの材料を集めたり整理したりすることに関する指導事項,「A話すこと・聞くこと」の(1)エや「C読むこと」の(1)ウなどの構造と内容を把握し精査・解釈することに関する指導事項との関連を図り,指導の効果を高めることが考えられる。