登録番号:C04-023 D1:教科における情報活用能力の育成
Q. 社会科で目標とされる技能と情報活用能力はどのような関係がありますか。
A. 社会的事象等についてまとめる技能は、情報活用能力と一致しています。
社会科では、社会的事象等についてまとめる技能として次の3つが示されています。
①情報を収集する技能
②情報を読み取る技能
③情報をまとめる技能
この3つの技能を育成するために、各学年の発達段階に応じて、様々な単元の中で、意識して取り入れていくことが大切です。
具体的な実践例として、5年生「くらしを支える情報」を取り上げてみましょう。
【単元】小学校5年 わたしたちのくらしを支える情報(日本文京出版 5年社会 下)
【単元のねらい】
・情報を入手する方法の中でも特に新聞の働きを中心に情報を伝える産業に関心を持つ。
・新聞紙面の構成や記事の内容を調べ、新しい情報をより早く、正確に詳しく届けるための様々な工夫に気づくことができる。
・複数の新聞記事を比較し、新聞社が情報を選択し、意図をもって伝えていることに気づく。
・身の回りにはたくさんの情報があり生活に欠かせないものであることに気づくとともに、その役割を理解する。
・情報は正しく発信すること、正しく受け取ることの両面が大切であることを理解する。
情報をつくり、伝える ~複数の新聞の比較を通して~
教科書(日本文教出版)に示されている一般的な展開
【第一小単元】情報を伝える産業について学ぶ
→「テレビ局」を取り上げて学習
【第二小単元】生活に欠かすことができない情報について学ぶ
→情報化の有効性と危険性について学習
教科書の展開に従って学習していくことで情報についての知識を獲得し、情報活用能力が身につきます。
しかし、テレビ局のことを調べる場合、実際にテレビ局を見学したり、報道内容を比較したりするのは、映像という性質上、容易でないことも多いのではないでしょうか。
また、第二小単元で情報化の重要性とともにその危険性や特性についての理解を深める学習を展開していくことを考えると、安価で容易に手に入り、複数比較をしやすい新聞を積極的に活用することもよいのではないでしょうか。
(学習指導要領では「放送、新聞などの産業の様子をとらえ」となっています。)
情報活用能力を意識すると
情報活用能力の育成をさらに意識すると、単に気づいたことを発表したり、文章化したりするのではなく、ベン図や表を使い情報を整理し比較・検討することで、視点がより明確になります。
【図の解説】
・ベン図のように記事を比較するとそれぞれの新聞の立場がより明確になります。
・新聞記事そのままでは児童が理解しづらい場合、内容を要約したり、一部を抜き出したものを用意するとよいでしょう。
・ペアや班活動で行う方が、多くの意見が活発に出るのではないでしょうか。
【まとめでは】
学習のまとめは、ベン図に表したことなど「根拠」に基づいて自分の意見を述べたり、まとめの文章を書いたりすることが大切です。
理解度CHECK!
次のうち、社会科のねらいを達成しつつ、情報教育のねらいにも対応している学習活動はどれでしょう。
あてはまるものすべてにチェックをしましょう。
根拠となる資料
●教育課程部会 社会・地理歴史・公民ワーキンググループにおける審議の取りまとめ(平成 28 年8月 26 日 資料7)
社会的事象等についてまとめる3つの技能。
①情報を収集する技能
②情報を読み取る技能
③情報をまとめる技能
●教科の目標(学習指導要領解説 社会編 P.18)
(2)社会的事象の特色や相互の関連,意味を多角的に考えたり,社会に見られる課題を把握して,その解決に向けて社会への関わり方を選択・判断したりする力,考えたことや選択・判断したことを適切に表現する力を養う。
第5学年 目標
(1) 我が国の国土の地理的環境の特色や産業の現状,社会の情報化と産業の関わりについて,国民生活との関連を踏まえて理解するとともに,地図帳や地球儀,統計などの各種の基礎的資料を通して,情報を適切に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(4) 我が国の産業と情報との関わりについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 放送,新聞などの産業は,国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解すること。
(イ) 大量の情報や情報通信技術の活用は,様々な産業を発展させ,国民生活を向上させていることを理解すること。
(ウ) 聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして,まとめること。
解説などを参考にしてください。
以上のような目標や指導事項、留意点等を十分理解したうえで、児童の実態に応じて教科書を基本に指導を展開することが何よりも大切です。