教員のための情報教育FAQ

登録番号:C04-024  D2:教科における情報活用能力(実践例)

Q. 体育の授業でも情報活用能力は育成できますか(中学年)。

A. はい。ICTを鏡的に活用すると、技能習得に効果的であるとともに、自己評価能力も育ちます(中学年の例)。

はい。器械運動や陸上運動などで、ICTを鏡的に活用すると、技能習得に効果的であるとともに、自己評価能力も育ちます(中学年の例)。

体育で技能を育成するためには、
①モデルとなる動きを見て、ポイントを捉える
②実際に練習する
という展開が基本的な流れになると思います。そこで、情報機器を活用すると、技能習得の効果が高まる授業にすることができます。

【具体的な実践例】
【単元】小学校中学年 跳び箱

【単元のねらい】
・安全を確認し、楽しく意欲的に取り組むことができる。
・開脚跳びができる。
・撮影した動画を子どもが自分自身やチームで検討することで、改善点に気づくことができる。

器械運動の技能を身に付ける ~自己の課題を見付け、解決のために工夫する~

新学習指導要領(平成29年3月公示)解説編では、中学年の器械運動について以下のような記述があります。
低学年の器械・器具を使っての運動遊びの学習を踏まえ、中学年では、器械運動の楽しさや喜びに触れ、その行い方を知るとともに、マット運動、鉄棒運動、跳び箱運動などの基本的な動きや技を身に付けるようにし、高学年の器械運動の学習につなげていくことが求められる。また、運動を楽しく行うために、自己の課題を見付け、その解決のための活動を工夫するとともに、きまりを守り誰とでも仲よく運動をしたり、友達の考えを認めたり、場や器械・器具の安全に気を付けたりすることなどをできるようにすることが大切である。

自己の課題を見付け、その解決のための活動を工夫するために、タブレットなどの情報機器を活用することが効果的です。

【課題】開脚跳びができるようになろう。
【授業の展開】
・教師が見本を見せます。上手な児童がいれば、見本になってもらうのもOKです。
・体育館にインターネット環境のある学校は、NHK for school「はりきり体育ノ介」などの動画クリップを見せるとよいでしょう。
・開脚跳びを成功させるポイントを説明します。
  ○両足で踏み切る
  ○手は、跳び箱の奥の方へ付く
  ○顔をあげて、視線を下げないようにする
・数種類の高さの跳び箱を用意し、自分で挑戦する高さを決めて繰り返し練習します。

情報活用能力を意識すると

・授業の最初にモデルとなる動きの動画を視聴し、跳べるためのポイントを共有します。
・数種類の高さの跳び箱を用意し、自分で挑戦する高さを決めて運動に取り組みます。


・跳び箱のポイントである、踏み切り、手の位置、視線の高さを撮影するため、真横から撮影すること、画角は変えないことを指示し、定点撮影をさせます。

・モデル動画と自分の試技を比較し、つまづいているポイントを話し合います。
・助走や踏み切り、手の位置など、一人ひとりの課題を意識しながら繰り返し練習します。

【ポイント】
・授業の前に、児童に機器の使い方を指導しておきましょう。
・タブレットが利用できる環境の場合、フォームチェックができるアプリを活用したり、スロー再生をして自分の動きを見たりすることもできます。また、NHK for schoolの動画クリップをそれぞれのタブレットで再生することで、モデルの動きをその場で確認することもできます。
・タブレットが利用できない場合、デジタルカメラやビデオカメラなどで実践することが可能です。
・ペアやグループで気付いたことを交流したり、改善点を話し合ったりする機会を持つことが大切です。
【身につく力】
・情報機器を活用して、動画を撮影する力を付けることができます。
・また、二つの事柄を比べ、違いに気付いたり、気付いたことを伝え合う力も育ちます。

理解度CHECK!

次のうち、情報教育のねらいにも対応していると思われる学習活動はどれでしょう。すべてチェックしなさい。


モデルとなる動きの動画を見てから、運動に取り組ませる。
モデル動画と比較するために、撮影する場所の工夫や定点で撮影させる。
タブレットなど撮影できる情報機器を活用し、相互に撮影し気づいたことを話し合わせる。

  ▲ 選んだら を押してください。

根拠となる資料

第2節 各学年の目標及び内容

第3学年及び第4学年の内容
器械運動について,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ウ 跳び箱運動では,切り返し系や回転系の基本的な技をすること。
ウ 跳び箱運動
跳び箱運動では,その行い方を知るとともに,自己の能力に適した切り返し系(開脚跳びなど)や回転系(台上前転など)の基本的な技をすること。また,基本的な技に十分取り組んだ上で,それらの発展技に取り組むこと。
[跳び箱上に支持し,回転方向を切り返して跳び越す切り返し系の基本的な切り返し跳びグループ技の例示]
○ 開脚跳び(発展技:かかえ込み跳び)
・ 助走から両足で踏み切り,足を左右に開いて着手し,跳び越えて着地すること。
新学習指導要領解説 体育編 P.79~86  

第3章 指導計画の作成と内容の取扱い
(1) 単元(題材)など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の「主体的・対話的で深い学び」の実現を図るようにすること。その際,体育や保健の見方・考え方を働かせ,運動や健康についての自己の課題を見付け,その解決のための活動を選んだり工夫したりする活動の充実を図ること。また,運動の楽しさや喜びを味わったり,健康の大切さを実感したりすることができるよう留意すること。

新学習指導要領解説 体育編 P.161