教員のための情報教育FAQ

登録番号:C04-025  D2:教科における情報活用能力(実践例)

Q. 体育で情報活用能力は育成できますか(高学年)。

A. はい。ICTを鏡的に活用すると、技能習得に効果的であるとともに、自己評価能力も育ちます(高学年の例)。

器械運動や陸上運動などで、ICTを鏡的に活用すると、技能習得に効果的であるとともに、自己評価能力も育ちます(高学年の例)。

体育で技能を育成するためには、
①モデルとなる動きを見て、ポイントを捉える
②実際に練習する
という展開が基本的な流れになると思います。そこで、情報機器を活用すると、技能習得の効果が高まる授業にすることができます。

【具体的な実践例】
【単元】小学校高学年 走り高跳び

【単元のねらい】
・安全を確認し、楽しく意欲的に取り組むことができる。
・リズミカルな助走から踏み切って跳ぶ技能を身に付けることができる。
・撮影した動画を子どもが自分自身やチームで検討することで、改善点に気づくことができる。

陸上運動の技能を身に付ける ~課題を見付け、解決のために工夫する~

新学習指導要領(平成29年3月公示)解説編では、高学年の陸上運動について以下のような記述があります。
低学年の走・跳の運動遊びと中学年の走・跳の運動の学習を踏まえ、高学年では、陸上運動の楽しさや喜びを味わい、その行い方を理解するとともに、短距離走・リレー、ハードル走、走り幅跳び、走り高跳びなどの基本的な技能を身に付けるようにし、中学校の陸上競技の学習につなげていくことが求められる。また、陸上運動を楽しく行うために、自己やグループの課題を見付け、その解決のための活動を工夫するとともに、約束を守り助け合って運動をしたり、勝敗を受け入れたり、仲間の考えや取組を認めたり、場や用具の安全に気を配ったりできるようにすることが大切である。

自己やグループの課題を見付け、その解決のための活動を工夫するために、タブレットなどの情報機器を活用することが効果的です。

【課題】・目標の高さを跳び越えよう。
【授業の展開】
・教師が見本を見せます。上手な児童がいれば、見本になってもらうのもOKです。
・体育館にインターネット環境のある学校は、NHK for school「はりきり体育ノ介」などの動画クリップを見せるとよいでしょう。
・はさみ跳びを成功させるポイントを説明します。
  ○5歩または7歩のリズミカルな助走をする
  ○踏み切るときは、体の向きをバーと平行にする
  ○振り上げた足で、バーをまたぐようにする
・目標の高さごとにグループ分けし、バーやマットなどを用意し、グループで繰り返し練習します。

情報活用能力を意識すると

・授業の最初にモデルとなる動きの動画を視聴し、跳べるためのポイントを共有します。
・目標の高さごとにグループ分けし、バーやマットなどを用意し、グループで繰り返し練習します。
・各グループにタブレットなどを複数台用意し、踏み切りは体の正面側から撮影する、空中姿勢はマットの側から撮影する、など、撮影したい動作に合わせて撮影する場所を移動することや、画角は変えないことを指示し、グループ内で撮影をします。


【画像説明】
・跳び箱のポイントである、踏み切り、手の位置、視線の高さを撮影するため、真横から撮影すること、画角は変えないことを指示し、定点撮影をさせます。
・モデル動画と自分の試技を比較し、つまづいているポイントを話し合います。
・助走や踏み切り、空中姿勢など、一人ひとりの課題を意識しながら繰り返し練習します。

【ポイント】
・授業の前に、児童に機器の使い方を指導しておきましょう。
・タブレットが利用できる環境の場合、フォームチェックができるアプリを活用したり、スロー再生をして自分の動きを見たりすることもできます。また、NHK for schoolの動画クリップをそれぞれのタブレットで再生することで、モデルの動きをその場で確認することもできます。
・タブレットが利用できない場合、デジタルカメラやビデオカメラなどで実践することが可能です。
・ペアやグループで気付いたことを交流したり、改善点を話し合ったりする機会を持つことが大切です。

【身につく力】
・情報機器を活用して、動画を撮影する力を付けることができます。
・また、二つの事柄を比べ、違いに気付いたり、気付いたことを伝え合う力も育ちます。

理解度CHECK!

次のうち、情報教育のねらいにも対応していると思われる学習活動はどれでしょう、すべてチェックしなさい。


モデルとなる動きの動画を見てから、運動に取り組ませる。
モデル動画と比較するために、撮影位置を考えさせて撮影させる。
画像を撮影できる情報機器を活用し、教師が指示して定点撮影をさせる。
撮影した動画をその場で確認させ、気付いたことを話し合わせる。

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根拠となる資料

第2節 各学年の目標及び内容

第5学年及び第6学年の内容
陸上運動について。次の事項を身に付けることができるよう指導する。
(1)次の運動の楽しさや喜びを味わい、その行い方を理解するとともに、その技能を身に付けること。
エ 走り高跳びでは、リズミカルな助走から踏み切って飛ぶこと。

エ 走り高跳び
走り高跳びでは、その行い方を理解するとともに、試技の回数やバーの高さの決め方などのルールを決めて競争したり、自己の記録の伸びや目標とする記録の達成を目指したりしながら、リズミカルな助走から強く踏み切って跳ぶことができるようにする。

新学習指導要領解説 体育編 P.131  

第3章 指導計画の作成と内容の取扱い
(1) 単元(題材)など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の「主体的・対話的で深い学び」の実現を図るようにすること。その際,体育や保健の見方・考え方を働かせ,運動や健康についての自己の課題を見付け,その解決のための活動を選んだり工夫したりする活動の充実を図ること。また,運動の楽しさや喜びを味わったり,健康の大切さを実感したりすることができるよう留意すること。

新学習指導要領解説 体育編 P.161