No. 43: 道草のススメ -「通学路紀行の作成」-

◆ 校種 ◆
小学校
◆ 教科 ◆
総合的な学習の時間
◆ 学年 ◆
5,6年
◆ 時間数 ◆
6〜8時間
◆ 教科書 ◆

授業の概要
 自ら地域に出かけ、画像を収集し、コンピュータ上で加工・処理をおこない、文章を加えて資料を作成することによって、情報スキルのアップを目指す。地域に出かけたまとめを自分ひとりの力でワープロ文書に仕上げることができるようになると、他の全般的な総合的な学習に対して、このようなスキルが幅広く応用できることになる。その題材として、教員が引率する必要がなく、子どもたちだけで活動が可能な「通学路紀行」を選んだ。

教科の目標
 「画像入りの文書」を制作する作業を通して、「情報を収集・整理する」「表現してまとめる」という活動を経験させ、『情報機器を用いた資料作成スキルや情報発信の力』を養う。

情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A21-3-040: 目的や視点を明確にして、情報を集めることができる〔行動〕
 ◆A22-3-080: プレゼンテーションソフト等で文章や写真をレイアウトし、数枚のスライドを作成する〔行動〕
 ◆A22-3-030: 文書処理ソフトに、描画ソフトなどから画像等をコピーし、貼り付ける〔技能〕
 ◆A42-3-090: 他人のプレゼンテーションを見て、良いところを取り入れる〔態度〕

学習の流れ

デジタルカメラからの画像をコンピュータへ

画像をサムネイル印刷

地域の画像情報を見ながら紀行文を入力

コンピュータの操作をみんなで教えあいながら進めていく

完成した作品をみんなで評価しあう

STEP1
○デジタルカメラの使い方を学ぶ(コンピュータへの画像取り込みや撮影のテクニック等の習得)
・単にシャッターを押すと撮影できるが、撮影のアングルや対象物のカメラフレーム内での位置などによって、撮影したものが違って見えることを確認させたい。
・試しに校内撮影会などを実施し、いい写真例や悪い写真例などを具体的に提示するのもよい。
・自分ひとりでも、地域に出て目的とする画像情報を確実に入手してくることができるように指導をおこなう。
・デジタルカメラの台数に応じて、ローテーションを組んで1週間程度をかけて撮影する。グループではおこなわず、独自の画像情報を入手することにする。

STEP2
○「通学路」を撮影する(登校・下校時に子ども自身でおこなう)
・できるだけ多くの枚数を撮影するよう指示しておく(後に必要な画像を選択する)
・なぜ、その写真を撮影してきたかの意味づけをしっかりもたせておく。
・撮影した写真に付け加えるつもりの文章などもその場でメモするように注意を促す。

STEP3
○収集した画像をコンピュータに取り込み、選別・分類し、加工や画像処理を施す。
・撮影してきた画像をサーバー等に蓄積し、画像閲覧ソフト(ビューアー)等で開いて、必要な写真を選んだり名称変更をおこなったりして加工を施す。また、サムネイル印刷をしておく。

○サムネイル印刷した写真をもとに、完成資料のイメージを考え、書き込む文章を考えてくる(宿題)。
・ワープロソフトの機能は気にせずに、実現したいレイアウトで完成イメージを描く。

STEP4
○デジカメで撮影した写真入りの文書「通学路紀行」の作成をおこなう。
・宿題にしていた完成イメージ(書き込む文章も)を元にして、ワープロソフト等の文書作成ソフトへ「通学路紀行」の文章を入力していく。

STEP5
○イメージしたとおりの文書レイアウトを実現できるようにする。完成後には文書を印刷する。
・ワープロソフトの操作スキルの指導に関しては、今後のためにも子どもが必要なときに開いて自習できるようなマニュアルを作成しておくことが望ましい。
・画像やイラスト、地図、吹きだし等を文書に挿入する。できるだけ、子どもたちの発想を重視し、実現したいレイアウトや文書イメージをコンピュータ上でどのように実現していけるかという操作技能的な支援をおこなう。

STEP6
○完成した作品を相互に評価する。また、他人の作品と比べて、自分の作品の自己評価もおこなう。
・単なる通学路の紹介ではなく、独自に調査した内容が書かれているか、見てくれた人に何をアピールしたいのかが明確であるかなどを重視したい。
・みんなの印刷物を掲示し、それらをみんなで概観し、評価シートへ良かった点・改善点などを書き込んでいく。または、大画面で映し出したり、人数分を印刷して配布し、簡単な「発表会」をおこなってもよい。

○他者の評価を取り入れて作品を改善する。改善後は順次、校内掲示をおこなう。

まとめ
○クラスメイトが書いてくれた「相互評価シート」を確認したり、校内掲示によって他人からの評価を得て、自分の作品の改善点を見出し修正を加えていくようにする。他人の意見を受け入れ、すぐに改善を加えることができるというデジタル文書の利点にも気づきたい。

実践のポイント
 デジタルカメラをローテーションを組んで子どもたちに持って帰らせることや、画像を一時蓄積しておけるサーバー、または画像閲覧ソフトの準備など、各学校の情報環境に合わせて工夫して欲しい。デジタルカメラやコンピュータが子どもたちの学習ツールとして根付くように、画像取り込みから印刷までの全工程を個人ごとに経験させ、今後の総合的な学習や理科・社会などの調べ学習にもこのようなスキルを役立てていきたい。