「どうして自動販売機があるのかな?」(単一校版)~空き缶ポイ捨てと自動販売機~

概要
ねらい
情報活用のねらい
Step1:空き缶 ポイ捨てと自動販売機について考えよう
Step2:自動販売機についてもっとよく知ろう
Step3:自動販売機を調べて考えたことをわかりやすくまとめよう
Step4:自分たちにできることを話し合おう
Step5:未来の町での自動販売機を考えよう
実践にあたっての留意点

教師用ガイドブック
子ども用ワークシート
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教師用ワークシートガイド
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学習進行表
構想グラフ/活動イメージ
情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A51b3-040:情報を分類・整理した表やグラフを読み取り、気づいたことや考えたことを書き出す〔行動〕
 ◆A22-3-070:伝える相手を考えて、色やレイアウトを選ぶ〔行動〕
 ◆A41-3-090:コミュニケーションツールを使って、他の人と意見や情報のやりとりをする〔行動〕
 ◆A51a2-030:自分の身近な問題から課題を考える〔思考〕
 ◆C31a3-110:メール送信は相手への影響を考えて、発信内容や方法に責任をもつ〔態度〕
 ◆C11a4-010:課題について調べた情報を根拠にして討論を行う〔体験〕
 ◆A32-3-040:複数の情報を組み合わせて考えることができる〔行動〕
 ◆A31-3-030:集めた情報を整理・判断し、まとまりごとに小見出しをつける〔行動〕


現代の日本人の生活に浸透している自動販売機は、その利便性から消費者側や供給者側にとって無くてはならないものになっている。生活のオートメーション化は技術の進歩により利便性を追う我々にとって必然であるが、同時に多くの問題も含んでいる。必要以上に設置された自動販売機により、膨大な電力消費の問題、資源・エネルギー問題、空き缶 ポイ捨てにつながる消費者のモラルの問題が生じている。子どもたちにとって当たり前のようにある自動販売機を調べていく活動を通 して、自分たちの消費生活を見直し、自動販売機に内包されるモラルや環境問題など今日の社会的課題を考えていくことができ、自分たちの未来の町づくりなどについて話し合っていける課題である。
日常的に暮らす地域に、ポイ捨てされている空き缶 を通して、これらは美観やモラルの問題を含むばかりか、資源の無駄使いをしていることを理解する。
ポイ捨ての大きな原因の一つである自動販売機について様々な角度から調査し、自動販売機の環境に関する問題点やこれらの改善点、利用者の責任などについて考える。
リサイクル活動や、企業による環境対策、国や地域による自動販売機への考え方の違いなどを検証し、自動販売機と人との関わりを考えてみる。
さまざまな情報手段を活用して、効果 的に表現する。
自ら課題を見つけ、見通 しを持って活動することができる。
メディアを活用して情報を交流する。
課題解決に必要な情報を、情報手段を活用して収集する。
伝えたいことを明確にして相手にわかりやすく伝える。 ・情報を批判的に活用できる。

空き缶 ポイ捨てや自動販売機について思っていることを出し合う。(1時間)

道路にポイ捨てされている空き缶 の写真や行楽地での空き缶がたくさんたまっている状態の写真などを見て感想を発表しあう。
クリーン作戦等の地域清掃活動をしている場合は、そのときの経験を思い出し、自分たちの住む地域ではどうだったかを確かめる。(できるだけそういった活動がある方がよい)事前にそういった活動をする場合、ワークシートサンプル1-2を使うとよい。
自分たちの住む地域の自動販売機について、どこにあったか、数はどれくらいあるかなど予想し、自動販売機について思うことを出し合う。


一斉授業形式から班に分かれて意見を出し合う。ここでは、今の自分がどう思っているかを簡単に話すことができればよい。ワークシート1を使ってもよい。

自動販売機について調べたいことを考える(1時間)

自動販売機についての人々の思いがかかれている資料や外国にはほとんどみられないという資料を読みながら話し合い、調べてみたいことをワークシートに記入していく。
【問題作り】ワークシートサンプル2、ワークシートサンプル3


このステップでは、子どもたちの自動販売機に対する認識を揺るがし、興味を持たせて課題意識を芽生えさせることを主眼とする。このステップ以降の学習に大きく影響するので丁寧に支援することが大切である。

自動販売機やポイ捨ての実態について、もっとくわしく調べる計画を立てる。(1時間)

自分が追求していきたい問題に基づいて計画を練る。調べる方法も考える。
ホームページにまとめていくことを意識しながら計画を立てる。

計画にしたがって、各自で方法を選びながら、調べ活動を行う。(2時間)

自分たちの住む地域の自販機について調べる。


自販機の置かれている場所、空き缶の捨てられているところ、自販機の数や種類、売られているものなどを地域の地図を書いたものに記入していくか、または地図の画像を利用してもよい。

インターネットの検索システムを使って、自販機の不思議を調べる。
自販機を設置している店の人や自販機を利用している人(家の人など)にインタビューする。ワークシートサンプル4
自販機のリンク集(デジタルコンテンツ)のページで調べたり、電子メールや郵便で質問したりする。

-1
町内での設置場所、設置数、メーカー種類
「地域の自販機マップ」にあらわそう。

自動販売機の生産台数、製造コスト
統計資料を活用しよう。 ※世界有数の自動販売機設置国=日本
外国の状況は?(ドイツなどヨーロッパ諸国、発展途上国ではどうか?)
外国の人々が大切にしているものは何だろう?

自動販売機の消費電力量 について
他のものと比べてどれくらい電力を消費するのか?

-2
自動販売機登場の歴史
いつ頃登場したのか?なぜ、自動販売機が作られるようになったのか?

消費者に対する自動販売機の配慮
人に優しい自動販売機、購入しやすくする工夫、購買意欲促進の工夫など

ジュース缶 について
アルミ缶 、スチール缶の違い、リサイクルについて、製造番号等


子どもたちの調べ学習のテーマが多様に分かれるのでできれば複数の指導者で支援にまわったほうがよい。(TTの活用)

調べてわかったことや自動販売機やポイ捨てに対する自分の考えがうまく伝わるように工夫してまとめる。(4時間)

調べたこと、わかったこと、考えたことを図や絵を使ってわかりやすくまとめる。
空き缶 ポイ捨てを減らす方法を考えてまとめる。
自分の考えがうまくつたわるようにホームページの形でまとめる。


空き缶 ポイ捨てを減らすアイデアは?
自動販売機をなくしたらポイ捨ても減る。(設置場所や設置数について)
飲んだらすぐつぶして持って帰りやすい容器にする。(リサイクルの容器)
容器を戻すとお金が戻ってくる(デポジット制)
ゴミ箱をもっと増やす。

みんなに伝えていくためには?
ポスターや標語をあちこちにはる。

自分たちの生活の中でできることはないかな?


ステップ4に向けて話し合いの時の資料にもなるようにまとめていくとよい。ホームページの形でまとめて情報を共有できるようにしておく。

調べているうちにでてきた課題について自分たちにできることを話し合う。(例えば、空き缶 ポイ捨てを減らす方法など)(1時間)


空き缶 ポイ捨てを減らすアイデアは?
自分たちの生活の中でできることは?


第三者的な発想で終わるのではなく、できるだけ身近なことから行動化できるように自分たちの生活を振り返らせ、自分が始められることに目を向けさせていくようにする。

このテーマを元に自分たちの夢の自販機を提案する。(2時間)

自動販売機に対する自分たちの思いが伝わる未来の自販機をイラストや文でまとめる。ワークシートサンプル5


自動販売機会社に、この案を提案する。ホームページにまとめて、インターネット上に発信する。自動販売機会社にあらかじめ依頼しておき、Eメール等でフィードバックをもらう。ホームページに対する感想をもらえる学校があれば、依頼しておき、同様にフィードバックをもらう。

すぐにでも実現可能なものから近未来では実現できそうなもの、または全く空想上のものまで、自由な発想を大切にする。


「考えてみよう未来の自動販売機(こんなのがあればいいな・こういう機能が欲しいな)」

環境に優しい自動販売機は?
無着色缶 の販売(リサイクルしやすい)
自然帰化型容器の使用=木製や特殊プラスチックなど
冷暖房設備なし(省電力型)で、安価にした自動販売機
ソーラーパワー発電付き、プリペイドカード利用の自動販売機
空き缶 回収機付き自動販売機

24時間電源が入っているという観点から、この電力をどう有効利用できないか?
コンビニなどに設置されている「情報ステーション」のような役割

設置場所、観光地での美観などに関する観点からの工夫は?

子どもたちにとって、自動販売機というのは生活の中であって当たり前の存在になっています。ステップ1では、外国の事情が日本の場合とずいぶん違うことや、自販機に対する考えにもいろいろな思いを持っている人がいるということを知らせることによって、今までの認識をゆさぶり、自動販売機についてもっと調べてみたい、考えてみたいという意欲を喚起させてください。

基本的な立場としては…短絡的に「自動販売機設置=空き缶 ポイ捨て」という考え方ではなく,「自動販売機=文明の利器・技術の結晶」というように考えさせたいものです。ただし、現在の自動販売機はまだ完璧なものでなく,空き缶 回収システムを組み込むことなどがこれから求められていくと思います。

この辺は,「自動車」と同じ流れになることが予想されます。便利さを追求し後追いで環境福祉面 が考えられているからです。 ・自動販売機そのものではなく,「使用者のモラル」の面 が非常に大きいことに気付かせたいものです。ただし口だけで「モラルモラル」と言ってもなかなか動かないのが現状であり,このアプローチはやめたほうがよいと思います。具体的な動きとして「設置場所の工夫」などに目を向けさせるようにします。

本単元の目的は,自動販売機を取り巻く環境全体について、各自が調査したこと知り得たことについて自分の意見や考え、主張を持つことを重視するのであって、各班(各自)がまとめたことを全員一律に理解する必要はないと思います。

調べ活動での資料作成は、むしろ、ステップ4、5での話し合いの時点で、自分の意見に説得力を持たせるための資料としての活用、またそのためのヒントとなるようなものを期待しています。