教員のための情報教育FAQ

登録番号:C01-002  A:用語の意味・基本的な意義

Q. 情報教育とは何ですか。何が大切で、どうすればいいのかわかりません。

A. 情報教育とは、情報化社会を生き抜く(これからの子どもたちに必要不可欠な)能力を身につけさせる教育です。

情報教育とは

 情報教育という言葉は、1985年ごろから使われ始めた用語であり、児童・生徒に情報活用能力を身につけさせる教育をいいます。情報教育の推進は、教育の情報化の大きな柱の一つですが、教育現場では、コンピュータ利用授業(教科指導でのICT活用)やコンピュータ操作教育(情報処理技術教育)と勘違いされている節があります。情報教育の目的や方法を理解するためには、これがどのような能力観と関連し、カリキュラムに位置づいているかを理解する必要があります。

1.情報教育の2つの柱

情報教育は、もともと2つの柱をもっています。

一つは、コンピュータを中心とする情報に関する専門科目への入門です。ここでの学問の背景は、「情報科学」や「システム科学」「情報工学」などですが、「情報社会学」や「人間情報工学」あるいは「認知心理学」等の内容も含まれます。専門教育としての情報教育といっていいでしょう。

もう一つの柱は、自らの生活や仕事の場面での問題解決に情報を活用できるようにすることを目的とするものです。万人のための情報教育といえるでしょう。これは、知識・技術・態度を統合化した、文字どおり実践力をねらったものであり、小学校段階から、あらゆる教科にまたがって実施することになります。特に小学校では、児童が自ら情報を収集し、加工し、選択し、伝達するという情報処理活動(学習活動)をすべての教科に取り入れることができますし、中学校や高校においても、これまでの受け身的な記憶中心の学習から、課題研究、大量の資料からの検索・調査、機器を利用した実験、他の地域とのコミュニケーションなどを重視するように変更することによって実現できます。
また情報モラルの育成もこれらの活動を通じて、実践的に学習していくことになります。

2.情報教育で身につけるべき能力

情報教育のカリキュラムを、学習指導要領にどう位置づけるべきか。2002年度からの学習指導要領の改定に先立ち、文部省は1996年に、学識経験者や教育関係者による「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議」に審議を依頼し、ネットワーク時代に対応した新しい情報教育のねらいを明示しました。それは、よく知られている、以下の3つです。

1)課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力(情報活用の実践力)

2)情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善したりするための基礎的な理論や方法の理解(情報の科学的な理解)

3)社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度(情報社会に参画する態度)

 これらの内容はよくみると、わが国の情報教育は、コンピュータに関連する専門的な内容を定着させたり、パソコンの機器操作やソフトの使い方を覚えることではなく、主体的に情報活用できるようにしていくための基礎的な知識と技能、態度の育成に焦点が当てられていることがわかります。また、近年重要な課題となっている「情報モラル」の育成も、単なる危険回避の教育としてだけでなく、情報教育で育成すべき3つの能力のバランスの中に位置づけられていることがわかります。

3 新しい学習指導要領での情報教育

2020年からの新しい学習指導要領でも、この情報教育の概念は踏襲されています。学習指導要領にはあえて「情報教育」という言葉を力説していませんが、教科の具体的な指導の中で、児童生徒が、情報を収集し、処理したり、発信したりする活動を重視するように、学習指導要領の記述が変更されたところがこれまでと異なります。「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」(アクティブ・ラーニングともいわれる)も情報教育のねらいと深く関係があります。具体的な教科書をご覧ください。これまでとは異なり、生徒が主体的に活動し、情報をまとめたり、発表したりする活動が増えていますね。水泳で例えるなら、先生がいくらプールで模範的な泳ぎをみせても、子どもたち自身がプールに飛び込んでもがきながら練習を進めていかないと、泳げるようにはなりません。情報活用の実践力も、子どもたち自身が課題意識をもって、情報を集めたり、まとめたり、伝えたりする活動を行わなければ、情報活用の能力はつかないのです。



情報教育について、正しい考えをすべて選びましょう。


情報教育には2つの柱がある。それは「情報活用の実践力」と「情報の科学的な理解」である。
情報教育のねらいは「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」と深く関係がある。
情報教育のねらいは、コンピュータの利用を前提としている。操作能力の向上は必須である。
情報活用の実践力は、子どもたち自身が情報活用活動を行わなければ、身につかない

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