Q. A領域では、どのような内容が出題されますか? どのような勉強をすればよいでしょうか?
ICT支援員認定試験では、実際の教育現場から要求されている様々な問題をクリアできるように、
- a) 教育現場や情報技術などでの基本的用語
- b) 教育現場で利用されるアプリケーションソフトやファイルの操作
- c) 現場で生じる問題に対する状況判断や対応
- d) 教育現場で利用されるハードウエアやソフトの設定
- e) 学校特有の問題に関する理解(職務、子どもの扱いなど)
- f) 情報モラルの指導・セキュリティに関する知識
などの領域から出題されることになっています。
これらの内容を体系的にまとめた教材として、ICT支援員養成講座「B:ICT支援員自己研修コース」「C:ICT支援員自己研修(含む情報技術基礎)コース」のe-Learningも開設されています。
https://jnk4.org/itce/img/elc_2025.pdf
A領域の試験については、ソフト活用やネットワークなどに関する技術・知識、教育活動・教育組織などへの理解が求められるという観点から、教育情報化コーディネータ3級の問題集も参考にして勉強していただくのもよいと思います。
また、ICT支援員が身につけるべき能力や役割については、下記のものが参考になるでしょう。
(1)「ICT 支援員の養成に関する調査研究委員会」がまとめた
『 ICT支援員 ハンドブック』
(2)日本標準から出版されている『 学校のICT活用・GIGAスクール構想を支える ICT支援員(2022)』
Q. B領域はどのように評価されるのですか?
B領域の試験問題は、A領域試験終了の5日後「個人専用サイト」にて、A領域の合否結果とともに送られます。解答を動画にて自録したもの(動画作成課題)を期限(5日)内に提出してもらい、評価する仕組みになっています。
課題は、ICT支援員として学校現場で日常的に遭遇する内容への問題解決、あるいは、技術的な内容について、わかりやすく説明するといったものです。評価観点は、「問題場面を的確に把握できているか」と「先生方にその状況や対応を的確に説明できるか」に重点が置かれます。実際に教育現場で、人前で話したり、説明したり、質問にわかりやすく答えたりする経験があるICT支援員の方にとっては特別な準備は不要ですが、不得意な方は日頃からの自己研鑽が必要でしょう。
提出された動画は一人の受験者に対し複数(4名以上)の審査員が「正確性」「わかりやすさ」「話し方」などの観点で採点し、合否が決まります。
Q. A領域あるいはB領域のみを受験することは可能ですか?
同時受験が前提となっています。
Q. 2019年度より始まったICT支援員上級認定について教えてください。
ICT支援員上級は、ICT支援員認定者のうち、実績面、能力面で特に優秀と認められた方に認定される新しい制度です。2年に1回(奇数年の)春に、有資格者のうちの希望者に対して、追加でC領域(問題解決・コミュニケーション能力・マネージメント能力)に関する実践的課題、面接試験が課され、合格者にはICT支援員上級が認定されます。有資格者の条件は、ICT支援員認定後4年以内(試験が実施されなかった翌年は5年以内)であること、AB領域とも高得点で合格していること、2年以上の実務経験あること、の3つです。「AB領域とも高得点で合格している」かどうかは、ICT支援員認定合格時に本人に通知されることになっています。
その他の〔ICT支援員上級認定〕に関するFAQはこちら
Q. ICT支援員の認定証書などは発行されますか?
はい。ICT支援員として認定された(合格された)方には、PDF版の認定証書が発行され、個人専用サイトへアクセスできる期間中はいつでもご自身で出力できるようになっています。また、希望者には、ICT支援員のライセンスカード(実費2,500円)の発行を行っています。
Q. すでに、教育情報化コーディネータ2級(あるいは3級)の資格を持っていますが、ICT支援員の資格も取れますか?
2つは別の資格ですので、それぞれの試験に合格することにより取得いただけます。また、3級と支援員は同日に受験いただくことも可能です。
Q. 全国のテストセンターで受験とありますが、どのようなことでしょう。
A領域については、全国にテストセンターを持っているテスト会社の契約施設(主要都市に200か所ほどあるようです)があり、そこにある端末を予約して受験できるようになっています。試験の日時は固定されていますが、会場についてはお申し込み時に、自宅や職場に近い会場を選択して指定できます。また、受験料の支払いはお申し込み時に行い、クレジットカードやコンビニ支払いが可能です。ただし、会場の確保は先着順となるため、希望の会場を予約するには早めのお申し込みが必要です。また、それぞれの会場の端末を1台借用しているだけのため、当日、隣の端末では全く異なる試験の受験者がいる場合もあります。
B領域の問題(提出課題)は、A領域の合格発表時に、個人用連絡ページ(Webページ)に表示されます。課題提示から提出までには5日間の期間があり、自宅や職場で時間を確保して対応することになります。
Q. 試験問題は公開されないのですか?
正解を覚えればよいという対応を避けるため、どちらも非公開が原則です。
ただ、どのような形式でどんな問題なのかを知りたいという方のため、A領域については、初年度の問題の一部が公開されていますので参考にしてください(以下に掲載しておきます)。その後もほぼ同じような問題となっています。類似の試験に「教育情報化コーディネータ(ICTE)3級検定試験」があり(目的は違いますが、こちらの方がやや難しいといわれています)、こちらが参考になるようです。ICTE3級の過去問題集はPDF版が10年分販売されており、多くの受験者がこれを使ってA領域の勉強をしているようです。
B領域の課題は、A領域の合否発表日に提示され、提示日を含めて5日以内にで解答動画を提出することになっています。課題としては、具体的には、「教員からの問い合わせ」や「用語の意味や操作方法の説明」など、毎回時事的な課題が取り上げられます。内容の正確さだけでなく、話し方、わかりやすさ、配慮なども評価の対象になっているようです。
■■A領域の問題例(2013年出題)■■
【問題 1】(制限時間 150秒) | |
ある先生から自宅で作ってきたwordのデータが学校では開かないと相談があった。ファイルを見てみると「*.docx」となっていた。以下の対応のうち【適切と考えられるもの】をすべて選び、チェックしなさい。 | |
1. | Word 2007より前のバージョンでは、そのまま「*.docx」ファイルを開くことはできないので、Microsoftが無償で配布している「互換機能パック」を追加インストールし、「*.docx」ファイルを表示、編集、保存できるようにする。 |
2. | ファイルの拡張子を「*.docx」から「*.doc」に「名前の変更」を使用して変更する。 |
3. | 校内でWord 2007以降のバージョンのインストールされているパソコンを探す。 |
4. | Word 2007より前のバージョンでは、そのまま「*.docx」ファイルを開くことはできないので、自宅で「*.doc」で保存し直すように伝える。 |
5. | 一太郎などの他のワープロソフトを利用して開く場合もあるので試してみる。 |
【問題 2】(制限時間 150秒) | |
無線LANに関する以下の記述のうち、【正しいもの】をすべて選び、チェックしなさい。 | |
1. | ネットワークセキュリティキーは、毎回接続するときに必ず入力が求められる。 |
2. | WEPはすでに古い暗号化形式であり脆弱性が指摘されており、暗号化の方法として用いるべきではない。 |
3. | SSIDは有効な暗号化の方法であり、公開しなければセキュリティが保たれると考えてよい。 |
4. | 無線LANの暗号化や接続の方法は日進月歩であり、新しい情報を入手する必要がある。 |
【問題 3】(制限時間 150秒) |
以下の説明は、学校教育で用いられている教育関連用語について述べたものである。それぞれ、何を表してるか、【適切なもの】を、選択肢の中から選びなさい。
|
【問題 4】(制限時間 150秒) | |
学校のホームページの更新を依頼された。どの様な点に注意をすべきか。【適切なもの】をすべて選び、チェックしなさい。 | |
1. | 本人にとっても名誉なことだと考え、市の発明コンクールで特選になった児童のA社の特集記事を変更を加えず掲載する。 |
2. | 知らないうちに変更される可能性があるので、外部サイトへのリンクは、定期的に確認する。 |
3. | プライバシー保護の観点から、個人情報の掲載については十分に留意する。 |
4. | 改正により著作権のコピー制限が緩和されたので、有用な情報は丸ごとコピーしてできるだけ掲載する。 |
5. | 迷惑メール等が多く届くので、学校のホームページには、サイト運営先の住所、電話番号、メールアドレスの連絡先は掲載しない。 |
■■B領域の問題例(2013年出題)■■
【問題の設定】
あなたは、A市のICT支援員で、教育センターのヘルプデスクを担当し、週に1回ずつ各校を巡回して支援にあたっている。ある日、他校への巡回から帰ってきたら、
「学校のネットワークプリンターに職員室のパソコンから印刷したのでけど うまく出てきません。昨日は、うまく出ていました。また、さっき、隣の先生が自分のPCで出力したら、うまくでているみたいです。どうしたらいいですか。」というメッセージが留守番電話に記録されていた。
折り返し電話したが、不在であった。そこで、一方的ではあるが、留守電話にメッセージを残すことにした。
なお、質問者は、巡回対象の中学校の教諭であるが、面識はない。また、中学校には、情報担当の教員がいるが、その方も含めみなさん技術的にそんなに詳しくはない。
【問題】
以上の状況を想定して、電話のご本人に対して留守番電話に、120秒以内のメッセージを作成しなさい。
Q. B領域の高得点回答例や模範解答は公開されないのですか?
(個人情報の問題もあり)実際の高得点回答例や模範解答を公開する予定はありません。
ただし、評価の視点として、ICT支援員認定のB領域の課題の問題文中に、「課題提出の要件」と「解答作成上の留意点」が記載されていますので、その意味を深くお読みいただければ、どのような解答が高得点になるかは予想できると思います。
例えば、これまでの問題でも、評価の対象は、「話し方(含む表情)」、「内容」となっており、具体的には以下の点が重視されています。
・初めての相手に話すつもりで、ゆっくり丁寧に話す。
・状況によって対応が異なるようであれば、
「○○はどうなっていますか? もし××ならば、~~の可能性がある」
「○○はどうなっていますか? もし××ならば、~~をしてください」
のように、仮説的に(ただし相手が判断できる範囲で)対応を説明する。
・ゆっくり話していないと減点の対象となる。
・問題点の確認や当面の対応に言及していない場合は採点外となる。
・表現やアクセントについては、特に問題とはしない。
・相手が面識のない教諭であることを前提に丁寧に話をすること。
これらの評価の観点を押さえておくと、より良い解答を目指せるでしょう。
問題で設定されている状況を正しく把握し、的確な指示を行えるかどうかも重要です。問題文をよく読み、ポイントを整理して、その中から与えられた時間内に何を解説するのが最適か、そのような判断力も求められています。
実際の現場では、状況を正確に把握するために何度か情報のやり取りが可能ですが、この出題方式では一方向のみの条件があり、問題文だけでは不確定な状況に(わざと)設定してあります。
したがって、あらゆる「可能性を考えた上で」、「話相手の状況あるいは力量を想定して、どこまでどのように相手に伝え、当面の対応を指示するか」、また「それを分かりやすく相手が納得できるように説明できるか」を評価していることになります。
Q. 現在大学2年生(19歳)ですが、受験資格はありますか?
ICT支援員認定試験の受験資格が原則20歳以上となっているのは、ICT支援関連の実践的な経験も評価の対象になっており、座学だけでは合格できない内容になっているからです。したがって、原則にあたらない例(19歳以下)としては、高卒で、すでに社会人として関連した仕事についている方の場合で、関連する実践経験がない大学生の資格としては、該当しないと考えてください。
Q. 基本情報技術者の資格を保有しています。ICT支援員認定試験を受験するにあたって免除項目はありますか?
ありません。